特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座652「言霊は世界最古の成功法則」

近頃、世には成功法則なるものが
流行りだしている。
マーフィー、ナポレオンヒル、カーネギー・・・
などの外国の書籍をはじめ、
国内でも類似した書籍が多く執筆されている。

本を読むならまだしも、
わざわざ成功法則のセミナーに出かける人も
驚くほど多い。
一回何十万円と言う、
信じられない高額の受講料金を払ってまで
参加すると言う。

しかも、おかしいことに、
そんなセミナーを何度も何度も受けに
足しげく通うのだ。これは一体・・・?

わが武道の世界にも似たような人たちがいる。
いわゆる「修行マニア」である。

あっちこっち行っては色んな修行をし、
こんな修行をした、あんな修行をしたと言って
自慢する輩のことである。

修行すること、
とくに難行苦行を楽しんでいる
マゾヒストのような連中で、
修行するために修行し、
何のための修行か
目的意識をまったく失ってしまっている
病的な匂いを感じる。
恥ずかしながらかっての私もそうであった。

宗教界にも多い。
人間はどうせ罪人の集まり、
この世に生を受けたのも
罪を償うために生まれてきたのだと言い、
肝心の人間としての温もりを忘れてしまって、
何でも「行」だと言って眉間にしわをよせて
耐えることが向上への道だと思っている。

こういった人たちは社会に適合できず、
極端に排他的になる傾向が強い。
その分異常に仲間意識が強く、
同じ輪の中ではものすごく親切に世話を焼くが、
一端その枠から外れると、
外れた者に対し猛攻撃を開始する。

これは他人事ではなく、
私たち稽古人も気をつけなければならないことだ。

私たちは稽古をするため、稽古をしているのではない。
各自がもつ夢と希望を現実のものとするための
下ごしらえとして稽古をしているのである。

目標を達成させるための技術を学び、
その達成した時により喜びを味わうために
何より健康であることが大切だ。
目標を達成で出来たのはいいが、
そのときにはもう身も心もぼろぼろになっていたのでは
どうしようもない。

さて、皆にはその夢とは何かを
もう一度思いなおしていただきたい。
それは壮大で大きければ大きいほど、
成就するのに根気がいる。体力もいる。
もちろん技も必要である。
つまり準備期間がかかるのであることは
覚悟せねばならない。

若いうちは利己的な夢をもつものだ。
お金もちになりたいとか、偉くなりたいとか、
誰にも負けない力が欲しいとかと言う
物欲は誰しも思う欲求であろう。

徐々に歳を経るにしたがって利他的になり、
やがて世界的に、
そして宇宙的に拡大されていくのだが。

さて、この夢実現に向けての稽古と言ったが、
実はこの日本と言う国には
太古の昔よりどこの国にも勝るとも劣らない
画期的な成功法則が存在していることを
知っていただきたい。

それが言霊なのである。

万葉集の山上億良の歌にある。
「神代より言い伝えてけらく そらみつ 
大和の国は皇神の厳しき国 
言霊の幸はふ国と語り継ぎ言い継がいけり」

日本には、この言霊の幸はいをもって
思いを形にする法則があることを知り、
世界最古の成功法則のある国であることを
われわれは誇りとすべきである。

簡単に言えば、この世は
語ったことは形になると言う法則が
働いているということだ。
善いことを言えばよいことがおき、
悪いことを言えば悪いことがおきるのである。

そのメカニズムもすでに
いにしえの人たちは克明に解明している。
何もないところから、まず思い(夢、希望)が生まれ、
それが形をとっていく様子が図として記されている。
それが「フトマニノミタマ」である。

フトマニノミタマとは、
その名のごとく魂を形に表したものである。
霊魂を形としてとらえたいにしえの人たちの
深い感性と英知にはまったく驚愕するばかりである。

このフトマニノミタマの
最初に画かれている図は「ス」を表す。

スは、古事記の冒頭に書かれている
神の名「天之御中主神」を表す印である。

「天地はじめの時に高天原(タカアマハラ)になりませる
神の御名は天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ) 
次に高御産巣日神、次に神御産巣日神、
この三柱の神みなスになりまし、すみきりたまう・・・」

この意味はこうである。

『宇宙(世界)のはじめは、
ス(天之御中主神)の息~
水火(高御産巣日神、神御産巣日神)から
起ったのであり、このス声は、高速回転して
大宇宙の中心に確固たる軸をつくって万物を形づくっている。
それはあまりに高速の旋回ゆえ見えないから
隠れ身(神)と言われているのだ』

また、これを今風に言えばこうでもある。

人はまず最初に心に夢と希望を兆す(ス)。
そしてそれは目標実現に向けて動き出し(水火)
必ず形にせずにはおかない、と言うことでもある。

古事記は遠い世界の話ではなく。
現実のわれわれの心の世界の成り立ちを書いている書物だ。

天之御中主神(ス)とは、水気が広大に満つる、
その真ん中に一点の火(夢、希望)が出現した様子を言う。

何もないところ「ス」から始まり、
ウーアーオーエーイーと音を変えて形を整えていき、
やがて「75声」となって細部にわたるまで形づくられる。

幽から顕・・・見えない世界から
見える世界が生まれる過程であるが、
逆に、顕から幽へと、
見える世界から見えない世界に帰っていくことも
忘れてはならない。これが人生だ。

<人の一生>
■ 幽から顕が現れる・・・・・ ス声~75声 
■ 顕から幽へ帰っていく・・・ 75声~ス声

言葉は確実に思いを確固たるものにし、
それは形をつくらずにはおかないのである。

聖書 ヨハネ伝にある
「はじめに言葉あり、言葉は神とともにあり、
言葉は即ち神なりき、万の物これによりてなる」
と書かれているが、これも言霊のもつ法則を表す。

このヨハネ伝も
先の古事記の内容と意味を同じくする。
訳すとこうなる。

『初発の音声「ス」は、
火(気質)と水(物質)の元素である。
万物のもの(75声)はすべて
このス声により発生され、
これを軸にして形づくられているのである』

つまり、言霊とは
万物を造っている元素であると言うことだ。

私たちが済む世界の大気中には
75の言霊の微粒子で満ち満ちている。
それは、例えばシルクのような肌触りである。
この微粒子を「神霊元子」と書いて
「コエノコ」と言う。

コエノコは、万物の形を形成する粒子である。
この75のコエノコの親になるのが
父音アオウエイである。

そして、すべてのコエノコ(75声)は
スを軸に活動し、この意思に従うのだ。
スから生まれてスに帰ることが
万物のもつ潜在的な願いである。

スは「統べる」「澄み切る」であり
すべての「素(もと)」である。
このスの種をいただいて我々はこの世に下されたのだ。

さて、この大気中に満ちるコエノコは、
75声を使う人の言葉に反応して活動を開始する。
コエノコのエネルギーは空気中を伝わって
思う人に思いを届け、願う物を引き寄せる力をもつ。

言葉を発することによって
コエノコの粒子が集まって形を造っていくのだ。

だから、繰り返すが、
善い言葉を発すると善いことが起き、
悪い言葉を発すると悪いことが起きる。

ただ言霊を用いるには一定の法則がある。

言霊には、一霊四魂という「霊魂」が存在し、
八力と言う「力」が働き、
そして三元と言う「体」が物を形成すると言うことだ。

この「霊力体」の三つが三つ巴となって
初めて効力を発揮する。

まず鎮魂をし、すべてのことに省みる気持ちを持って
謙虚に謝罪し、同時に物事に深く感謝することである。

人を攻めず、周囲の事象はすべて
自分の心の反映であることを知ることだ。

これを行うと、全人類と繋がっている統一意思(神)が
主宰する人類共有のネットワークに接続される。
統一の意思はあなたの願いに関係有る人々に
一斉に配信し働きかけるのだ。

接続されたらもう叶ったも同然だ。
あとは行動をおこしつつ、
安心し、信頼して形が整うのを待つだけだ。

私は皆の夢が叶うように祈る。
皆の夢の実現が私の夢の実現でもある。

とにかく稽古人すべてに、
そして稽古人にかかわりあるすべての人々に
幸せになっていただきたい。