75剱の技の稽古を行うにあたって、
まず、打ち方の稽古は不可欠である。
75剱は水車のようである。
そこに水が流れて初めて水車は動く。
水の勢い強ければ、水車は勢いよく回る。
その水の流れが、滞ることなく、リズムと強さをもって、
しかも清らかに流れなければ、水車は生きない。
水あっての水車である。
様々な鍛え方があることであろうが、
私の経験から定めることにする。
私も、16の時から随分人に技のを指導をしてきた。
立場上しかたなかった。
同時に、指導するために、随分人に指導を受けてきた。
その経験から割り出すことにする。
技は変えてはならない。
変化しないのが技であるからだ。
しかし、稽古は常に工夫し改良を加えるべきだ。
工夫して失敗して、また工夫して失敗の連続だ。
和良久の技は宇宙の開闢とともにあるほど古いが、
しかしわれわれに下されてまだ若い。
思考、原始にましますれども、肉体、まだ幼い。
鍛える必要あり。
本日は、その75剱にとっての水である
12の打ち方の稽古について言う。
当面の稽古として『移動式』をとる。
この移動式、土台である足腰を鍛え、
上体をも強力にする『前屈』の立ち方をとる。
前屈の立ち方に鍛錬の要素あり。
しからば言う。
まず、「ウ」と構える。
左足力強く踏み込み、これを軸足となし、前屈立。
左手を右に振って、右半身となり、木剱傾斜させる。
吐く息で体を沈め、内回りに旋回させ、
左手左へ移動し、体を左半身にひっくり返し吸う息。
これで自動的に「凝」となる。
次に、また左足を前進させ、左手右へ振り、
先と同じ左半身の同じ体勢となって、
今度は上に吸う息で上げ、旋回させて下げ、吐く息で左半身に。
これで「解」となる。
凝も解も刃の上下があるだけで、
まったく同じ位置に剱の打ちが決まっていることが大切だ。
この要領で、「凝・解」を交互に打ちながら前進していき
「まわって」の号令で左周りで回って、また「ウ」で構える。
号令として稽古人が順番にかけあって稽古をすすめる。
■号令のかけ方
「構え」~ウで構え。
「凝」の号令で前進し、凝を打つ。
「解」の号令で前進し、凝を打つ。
※場所によって、二本しか出来ないことあり、
普通「凝」「解」「凝」「解」と
各剱上下4本打つ。
「回って」で、
①右足内側 ②左足外側 ③右足内側になって左周りで、
後ろ正面となって再び「ウ」で構える。
一往復して号令を交代する。
以下、同じように
「分・合」「ウ・ウ(内周り)」
「ウ・ウ(外周り)」「動・静」
「引・弛」と続ける。
ふらふらしせず足腰をしっかり固め、
歯を食いしばって、一本一本猛烈な旋回運動とともに、
風の唸りを生じさせるごとく打つ。
こういった稽古により、肉体を強固にし、
もつ技を存分に生かすよう努めるべし。
当面、質実剛健の稽古を旨とす。
世界の和良久と言われるには、まだまだ皆の稽古足らず。
圧倒的強さと迫力の中に潜む、静けさと優しさを知れ。
口を慎め、黙して進め。
発すべき言霊だけを発し、水火をもってわれを感じよ。
救いの道は、おのおのの中にこそある。