特定非営利活動法人 武道和良久

特定非営利活動法人 武道和良久

誌上講座 誌上講座

誌上講座283


「九鬼武産龍王」 その2


私は、実は何も分かっていない、
ということが最近よく分かりました。

分かっているのは、
まだまだほんの一分だけだったのです。

稽古が進めば進むほど、肝心の部分が見え隠れしてきます。
また、その大きさに時に物凄く怖くなる思いをいたします。

本当にこれでいいのかと自問自答の連続です。
ただ何かに突き動かされるようにして稽古を続けています。

もっと明確にしなければと、
インナートリップを繰り返しています。
回顧録を公開するのもその手段のひとつです。

そうなると、頭で考えるのは苦手なので、
縁有るところを訪ねることが
最も何かを得る手立てになろうはず、と考えました。

頭より、腹です。
腹で納得していかなければものになりません。

まず和良久の稽古場の広がる範囲を見ますと、
竜神、水軍、言霊などのキーワードが出てまいります。
ご縁とは異なものです。

これらから探ってみて、ふと三重に行くことにしました。
三重は水軍の里。

九鬼水軍の将、九鬼嘉隆公が
果てた島があると知ったからです。

私の中で「天之叢雲九鬼武産龍王
(あめのむらくもくかみさむはらりゅうおう)」という
神名が心に残っていました。

これは植芝盛平先生が己が武の技を発揮するに際し、
守護を願った神ですが、

天に群がり湧き立つ雲間から力強く現れ出でし如くに
武の力を生み出す竜神の王という意味です。

竜神とは、もちろん八力の働きを司る神のことです。

戦国の世に、最強の水軍である九鬼水軍を組織してきた
九鬼家には、天地の森羅万象を操るというべき、
様々な秘伝が代々伝えられていました。

それは古代史、神代文字、祝詞、太占、
兵法(武術)、医薬など多岐に渡って詳しく解説
されている伝書があるのです。

これこそ「九鬼文書」と言われる、
丹波綾部藩の九鬼家に保管されてれきた、
古事記以前の書と言われるものです。

九鬼は水軍ですから、和歌山、三重などは
ホームタウンです。
植芝、井上両師は和歌山、また奥山師は愛媛。
ともに瀬戸内海から熊野にいたる水軍の道筋です。

また、わが空手時代の師、芦原英幸は広島の出身で
愛媛で活動・・・と言うように、
何と水際の出身者ばかりであり、彼らの共通する技は
「螺旋」であり、それを駆使した絶対的強さなのです。
螺旋の技とはツルギのエネルギーのほとばしりであります。

また、それは佐々木小次郎や武蔵で比較すれば、
明らかに、小次郎タイプ、つまり力に頼らず
合理的な技をもって対処する技巧派であり、
仏教系ではなく神道系なのです。

まるで潮の流れのように、また海中に吸い込む
渦潮のように、その技の優美さと強さは、
武術を超えて芸術的でさえあります。

これら武道家たち、直接、水軍との接触はないにせよ、
その霊系はまさしく共通して道統を継承していると
言わざる得ません。

私も、福知山で生まれ、愛媛で鍛えられました。
螺旋の世界に身を投じるご縁を頂戴し
今日に至っています以上、偉大なる師の君たちとの
何某かのつながりがあることを嬉しく思い、
自分探しを思い立ったのです。

答志島はそんな思いをもってまいりました。

武道は、本来、鎮魂帰神の神術と言われています。
九鬼文書も、鎮魂帰神の法について解説されていますが、
私は取り分けて、この鎮魂帰神法について必要以上に
突っ込みたくはありません。

倫理道徳をわきまえ、悪神に心奪われることのない、
しっかりした人材育成こそ急務であり、

オカルトにとらわれない、本当の意味で和良久が
まことの神様のお力が一人一人に加わる術であれば、
これに越した幸せはありません。

私は、出来ればこれが「とどめの技」で
あればいいなあ、と思っています。

善と悪との大戦い・・・と、神様は宣言しています。
そして、今度の戦いは絶対負けることが出来ない、
とも言われています。

もし負けたら悪神どもに
この世を譲らねばならないからです。
こうなれば必死です。

それならば、この戦いに勝つため、
最後の軍勢を結成し、訓練してやろうじゃないか、と
私は単純な頭で思いたちました。

さて、言うことが殺伐としてきました。
「戦わない武道なのでしょう?」と
お叱りを受けそうです。

でも、前にも申しましたように、和良久は
人とは絶対戦いません、が、しかし、
悪魔とは徹底的に戦うつもりでいます。

「人と戦わない」とは、悪魔に力を与えない
ということなのです。
(悪魔は人と人と争わせて、そのエネルギーを
糧にしているのです)

悪をも受け入れる大きな心を・・・などと言う方が
おられますが、そんな悠長なことを言う時期は
すでにタイムリミットとなってしまったのです。

そこまで宇志採羅根真大神は、
十分過ぎるほどに猶予を与えてきたのです。

しかし悪神は改心どころか、何度の警告をも無視して、
ますます世を乱れに乱れさせてきた・・・
もうこれ以上いくと人類が破滅するところまで
きてしまいました。

とうとう待ったなしのところまで
きてしまったのです。


続く・・・