「憧れの大日本武道宣揚会」(4)
道路から踏み切りを越え、
一つ目の橋を渡るとすぐ額田である。
相変わらず小さな集落ではあったが、
新しいりっぱな家が立ち並び、
もうそこは「村」ではなかった。
夜の町なかを、ゆっくりと車で回った。
家並は変わったものの、
道の配置は、多少見覚えもある。
確かこの辺に家があったはず・・・と
車窓から覗きこむと
当然ではあるが、表札は前田ではない。
元、父の建てた自宅前の道を東に行くと
緩やかな坂があり、坂を下りきったところには、
寺に続く階段がある。
このあたりも、まだ夢によく出てくる所だ。
寺には、父や、父の先祖の墓がある。
今は、もう私は綾部の方にお墓を移しているが、
遺骨はまだここに眠る。
墓の下に停車させ、手を合わせ祈る。
この夜久野は、東経135度。
子午線の町として有名である。
京都府の西北部に位置する夜久野町は、
東は福知山市、西は兵庫県朝来郡和田山町に接している。
武道宣揚会のあった和田山町竹田と、
また大本開祖出口直を生んだ
福知山市の中央に位置する。
神武一体を目指し日本武道を全国に宣揚した本拠地と、
まことの神を世に出した神人の生誕地を挟んだ
真ん中に夜久野はある。
そんな地に生を受けたのもきっと何かの縁だと思え、
その役割を思い直し、手を合わしつつ、
今後の活動に対し決意を新たにした。
また、夜久野には、
もうひとつこんな面白い余談がある。
夜久野は、「銀河鉄道999その心の生まれた夜久野」
というキャッチフレーズをもつ星の町でもあるのだ。
なぜか?
それは、戦後10年間、世界的に有名な天文学者の
荒木俊馬氏が夜久野に住んでおられたのに由来する。
夜久野で同氏が執筆された「大宇宙の旅」を
当時中学生の松本零士氏が読み、その後その強い影響で
アニメ「銀河鉄道999」を製作したという。
平成14年12月、松本氏は、
この夜久野を訪れ講演を行った。
講演で、古ぼけた荒木氏の著書を見せながら、
「大恩師荒木俊馬先生の『大宇宙の旅』に
出会わなかったら漫画家としての私はなかった」
と言われた。
そして、松本氏はモンゴルのゲルを町にプレゼントしいる。
氏がモンゴルの記念切手を描いたことで
モンゴルから贈ってもらったゲルであった。
和良久は、劒を通して星の運行を現出し、
宇宙の真相を探求する技であることは
皆様もご承知のことと思う。
それはまさに「大宇宙の旅」である。
そして、私は、義経伝説を信じ、
また出口聖師のモンゴル渡航に夢を馳せていただけに、
わが故郷夜久野と、これらのご縁を
不思議に思えてならない。
幼少の頃の思い、青年期の体験、そして、
来るべき夢を結ぶものに関し、やはり人は、
すべてはその出生に起因するのでは・・・
という感を強くする。
続く・・・