「心の眼」
剱を旋回させる範囲、つまり回転半径はどれぐらいなものか?
これは凝縮(動きを小さくし、高速にする)をするか、
拡散(動きを大きくし、ゆっくり動く)をするかによりますが、
意識的には下記のようなことです。
1、宇宙一杯
2、大空
3、稽古場の部屋全体
4、相手の体全体
5、自分の体
・・・などを気持ちで「巻き込み、包み込む」という旋回です。
しかし具体的には自分の視界の範囲が一般的です。
それは、上は天剱、下は地剱、左右は剱を旋回させてみて
見える範囲です。
けっこう、人の視界と言うものは広範囲なものです。
眼はぼうっと前を見ていますが、
上も下も両側もかなり見えるものです。
高速に動く自分の剱と相手の剱を、同時に観るという
私たち和良久の稽古は、
かなり視界の範囲を拡大した稽古であるようです。
動くものを捉える眼の力、
つまり動体視力を最大限に駆使します。
稽古が進むにつれ、
肉眼を越えた眼である「第三の眼」を使うことを憶えます。
一般に言う「心の眼」というものです。
これは相手と自分の動きを、もう一人の自分が離れて同時に見ている、
という感じを得ます。
また、早いものをゆっくり捉える。
遠いものを近くに見、近いものを遠くに見る。
など・・・こういった時間と空間を超えた事象を即座に計算し、
調整し自分の必要な情報として自分の腹の中に送り込むのです。
武道における高速運動の技の展開の中に身を投ずるには、
感覚、感性によらなくては、到底対処出来るものではありません。
続く…