「4つの礼法」
呼吸には「拝の礼」「重の礼」「中の礼」「軽の礼」の四種が
あると言うことはすでに申し上げた通りです。
これは礼をする際にも応用します。
まず礼をする際にはまず中心を見出すことが大事です。
前後、上下、左右に傾かない姿勢のことです。
顎を引いて肩を落として背筋を伸ばし、
下腹を起し、 呼吸を整え、目はしっかり正面を見据えます。
手の五指はしっかりそろえて伸ばし、膝の上中央に
指先を内側にして置きます。
そして、礼の方法は以下の四種類あります。
<木剱を所持している場合の礼法>
■拝の礼
神前に額ずく際に行う礼で、いわゆる平伏です。
まず姿勢を正し、着衣、袴の乱れをなおします。
木剱を左傍らに置いた姿勢から、木剱を左手に取り、
腕を伸ばして正面中央に横向けに置きます。
木剱と膝の間隔は、両手両肘をつけて礼が出来る間です。
両手は膝を滑らせてゆっくり床に下ろし、左手が下で右手を上
に重ね、、手のひらを上に向けます。両肘もしっかりつけます。
曲げた腕は胸の位置で真横にします。
上体は背筋を伸ばしたままで、腰から折り曲げ床と並行になります。
本来は神前に祝詞を奏上して礼拝する際に行われます。
一般には「神前に礼」の時に深々と上体を下げ、神様に
祈願や感謝の意を表します。
最も尊い存在に対する礼で、人に対する時にはいたしません。
■重の礼
木剱の扱いは拝と同様です。
両手を膝から滑るように床にずらし、両手、両肘がピタッと床に 着き、
両手五指はしっかりと閉じ、両指の先端は合わせ、両腕で 三角形を
形成します。
上体は背筋を伸ばし、腰の力で上げ下げします。
目線は真下で、呼吸は「3呼吸」。
「1、2、3」とカウントするぐらいの、ゆったりとした重厚な 礼をします。
これは深礼とも言われ、その字の通り深い礼の仕方であり、
最も丁寧な礼の方法です。
礼が終わったら木剱は左に置き直します。
立ってこの礼を行うときには腰から直角に、つまり上体が床と
水平になります。
■中の礼
一番良く行われる礼の方法です。
重の礼とほぼ同じですが、木剱を前方に置く際には腕を丸く した 状態で
置き、この時、膝と木剱の間隔は手のひら一つ半ほどです。
礼の時には上体をまっすぐにし、両方の手のひらをぴったり床
に着け、体の角度は45度。
呼吸は「二呼吸」です。
立って行うときも同様に、上体が45度の角度で、木剱を所持して
いる場合は、左手に木剱、右手は膝の上にもってきて着けます。
■軽の礼
略礼と言われるものです。
背筋をまっすぐにし、顎を引いて目線はまっすぐに。
指をまっすぐに伸ばして五指を合わせ、両手が膝をすべり、
膝頭の前で指先のみ着けて頭一つ下げます。
呼吸は「一呼吸」です。
人の前を通り過ぎる際や、稽古の時、相手との間合いが狭い
時などに用いられます。会釈程度の礼と思って下さい。
続く・・・