特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座189


「創造の技であるはずの武道がなぜ戦うようになったのか」


日本が「ひのもと」と言うのも、日は霊であり、心であり、
これは「霊主体従」と言って、精神的なことを先行させる国である
と言うことです。

言霊は、この霊主体従の法則に従ってバランスよく働き、
また万物は秩序よく存在しますが、逆に体主霊従という
物質先行主義になると秩序が乱れ、災害が発生し、
天変地異がおこるといわれています。

古来、この深遠微妙なる言霊の力が、神国日本を覆い、
他国の悪しき風習が入らず、もって治安が守られ、
五風十雨違うことなく来たりて自然の恵みを得、
平和で安寧な御代が築かれていました。

その言霊の力を統治されておられたのが国祖と言われる
大国常立之大神様です。

この国祖の大神様は実直かつ至粋至純神様で、
荘厳なる言霊の力をもってこの国に堅固なる結界を張り、
大地、人民を守護しておられました。

しかし、その厳格なる秩序を快く思わぬ邪神たちは大挙して共謀し、
国祖に隠退を迫りました。

多勢に無勢、こうして国祖は東北のはずれ、
丑寅の方角に追いやられてしまったのです。
この時、同時にまことの言霊の力も隠されてしまったのです。

国祖ご隠退後は、まるで中心の柱が抜けたように、
一気に世界の秩序が乱れ「われよし」「強い者勝ち」の世が
現出したのです。

ここに言霊の結界が破られたのです。

そして邪気が発生し、天変地異、災害、戦争

がいたるところで勃発し、世界は混乱紛糾の巷と化しました。

霊主体従的な気風(物質よりも精神を重んじるということ)の国
であった日本が、徐々に体主霊従(物質尊重主義)に堕ちていきました。

そうして時を経るにつれ、人心に邪な思いが発生しました。

過剰な物欲が芽生えるとともに嫉妬、怨恨、猜疑などの心により
世の風紀が乱れました。

「自分さえよければ、人は倒れようがどうなろうが知ったことではない」
と言う「われよし」「強いもの勝ち」の世が現出したのです。

そして秩序を失った人民は、自己の利益を肥やすため、
神が与えた創造の力「ツルギ」を、破壊のために用いたのです。

人を活かすための神器「ツルギ」から、殺人のための包丁である
「刀」が登場したのです。

徐々に人同士の争いから国同士の争いへと発展し、
世界各地に戦争が頻繁に発生しました。

人が人を殺めると言う、決してあってはならない
恐ろしい時代が到来しました。

これが今の既成武道に残る殺傷の技です。

さて、このような、われよしで、弱肉強食のような状態を
「ヤマタノオロチ」と言います。

唯一、このヤマタノオロチを退治できるのが、スサノオノミコトや、
ヤマトタケルノミコトらが振るった破邪顕正の神剱「ツルギ」なのです。


続く・・・