特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座194


「自転〜突然の変化」


最近、手の中で、コロコロと転がす稽古に入ってからというもの、
和良久の稽古をされる方たちが驚くほど変わりました。

動きの円滑さ、柔らかさはもとより、
顔に輝きが増してきたのです。

これは、根元なる螺旋運動による効用です。

昔の話です。
奥山先生の稽古時代に、多くの人たちが
稽古に参加したにも関わらず、
誰一人ついてこられず離れていきました。
それには、以下の原因があったのです。

一つには理念の難解さ、二つには稽古における
技の不透明さでした。

稽古に、基本になる動作が出来てなく、
つまり八力とはどういった動きなのかということ
さえなかったのです。

稽古の際に行う技についても、当時は先生より大雑把に
「こうするんだ」と指示され、それを真似するだけでした。

何より剱の手の中の扱いが、基本の不透明さとあいまって
益々、訳が分からない状態が続くのでした。

基礎工事も行わず、いきなり家を建てるようなものでした。
壊れるのも速やかでした。

皆、訳も分からず、ただ剱を振り回す運動に終始していました。
そして、皆去っていきました。

しかし、時を経て大神様と四代様の導きにより、
それは和良久となって生まれ変わりました。

そして、理念が明確に整理され、
実践がはっきりと姿を現しました。

武道の起源は?
何のために和良久を稽古をするのか?
和良久をやって何になるのか?
何に向かっているのか?
75の技の形は?

いままで分からなかった・・・その、全てに答えが出たのです。

しかし、それでも躊躇していたことがありました。
手の中の緻密な扱いでした。

自転、つまり剱の細かい扱いは難しいから、
公転を主にして稽古を進めよう・・・

細かい自転を意識させると、
小さくまとまりすぎていけないのでは?
また、難しすぎていやになるのでは?

前は、そう判断して大雑把な動きを
皆にしていただいてました。
勝手な思い込みでした。

以前と違って、和良久には、
基本の型「八力」があります。
不透明な75剱の技も全て姿を現しました。

言霊の呼吸の「形」がすべて揃ったのです。
和良久によって、言霊というものが
誰の眼にも見えるような時代が到来したのです。

「自転・・・あるいは、今の和良久なら出来るかもしれない」
そう思いはじめました。

全員に「自転運動」、つまり「手の中のコロコロ運動」
をしていただく時期を待ちました。
そして、稽古導入の決意が出来たきっかけはこうでした。

それは有る幼い子供との稽古の時でした。

その子は長いこと稽古に通っているのですが、
どうも剱の動きが何時までもぎこちません。

例えば、アの剱をなんどやっても、
うまく線が描けないのです。
その時私は「手の中でコロコロと転がしてみなさい」
そう言いました。

その一言で、その子は突然目覚めたのです。
コロコロ、コロコロ・・・と止める事無く、
一所懸命に剱をまわし始めました。

するとどうでしょう。
私と同じ剱さばきをやり始めたのです。

これは驚きました。
顔つきまでも変わりました。輝くような笑顔です。

鎮魂の際に手を組む形があります。
その指が絡まる様子は螺旋の渦そのものです。

螺旋とは、極小には手の内に、極大には全身で描きます。
螺旋は木剱の息を吹き返し、勢いよく動き出します。
それはまるで生き物のようです。

続く・・・