問答集 (20)
「タテの剱とヨコの剱の違いはなんでしょう?
またこの両方から何を学ぶのかも教えて下さい」
すべての要素には、タテとヨコとがあり、
それがうまく組まれて、周囲と調和しています。
万物は「十字」の形に組まれています。
武道では、タテは水で右手であり、上下に働き、
ヨコは火で左手であり、左右に働くと言われています。
この火と水が組まれて「火水〜神」となり、
また「火水〜人」となります。
火と水は、あらゆる対称するものの根源であり、
宇宙創造の原子であります。
タテとヨコと言うのは、霊と体、
プラスとマイナス、陰と陽、軸と円周、力と技
・・・その他、様々な意味を含んでいます。
和良久の稽古では、常に、
この火と水の原理をもって稽古をいたしております。
動きを通して精神を練るものこそ誠の武道の学びです。
それは世間で言うところの文武両道とは
まったく次元が異なります。
文と武は一体不離のものあり、
別々に学ぶものではないからです。
さて、和良久では、最初にヨコの剱を稽古します。
なぜタテから入ら、ずヨコの剱から始めるのでしょう?
ヨコの剱の「四魂」は、幸魂(愛)と奇魂(智)であり、
「八力」は、凝・解・引・弛で、「三元」は柔です。
これからも分かるように、ヨコの剱の稽古で培うことは、
謙譲、協調、賢明、待機、共生、寛大
・・・と言った精神です。
その動きは平面的で、柔らかく、滑らかで
動きがはっきりしているので組みやすいという特性があり、
初心者向きと言えます。
例えば、相手が打って来た打ちを
「こちらへどうぞ」と相手の邪魔をせず、
相手に合わせ、そして自分の場所を相手に譲るような
穏やかな気持ちで組んでいきます。
呼吸は、胸式呼吸であり、左右の流れを旨とします。
さてタテの剱ですが、以上で紹介したヨコの剱とは
まったく対称の技と精神を学びます。
タテの剱の「四魂」は、和魂(親)と荒魂(勇)であり、
「八力」は、分・合・動・静で、「三元」は剛です。
これからも分かるように、タテの剱で培うことは、
剛健、自立、覚醒、包括、積極、勇猛、不退転
・・・と言った精神です。
その動きは、上下運動を基調とし、
大きな柱のごとく力強く、立体的で、
相手の進行を体全身で受け止めるようにして組みます。
絶対にここを動かないぞ、という勇ましい心境であり、
しかしこれは相手の気持ちを流さずに、
正面からしっかりと受け止め、
抱き上げる心から発したものです。
剱を組むときには、ヨコの剱のように、
相手が当ててきてくれるという「待ちの体勢」ではなく、
積極的に、こちらから当てていく組み方になります。
呼吸は腹式呼吸であり、タテの流れを旨とします。
続く・・・