「素手の技」(2)
技のすべてが、全部八力で解明出来、
技の良し悪しを判定出来るためには、
技を使うものが八力の腰に符合したものであるかどうかで
判定できます。
また、呼吸のあり方が、その腰の動きにあっているかどうか、
そしてそれらが統合されて旋回を描き、球体であるか、などです。
もし、技が球体であるなら、その技はどこから力を加えられても、
まったく同じ動きで対応出来、もし打ち込めば
相手は立っていられないほどの衝撃を被ることになります。
つまり、ひとつの動きで、すべてに通じるか否かが、
技の完成度の高さを証明する基準となります。
ひとつはすべてのために、すべてはひとつのために・・・
この宇宙の法則に合致した思考、
技術を生み出すのが稽古そのものと考えます。
話は戻りますが、私は故芦原英幸に10年仕えて
その技を叩き込まれて来ました。
当時は分かりませんでしたが、
師の強さの秘密は螺旋にあるということが
今になって、この稽古に入ってようやく分かりました。
螺旋運動・・・中心軸を定めて、円を正確に描く、
その描く円から繰り出す遠心力、求心力をうまく駆使すること・・・
これは達人たちに共通する法則のようなものです。
力は自力で発するのは、ほんの僅か。
あとは相手がぶつかってきてくれて、
技に加速を加えてきてくれるのを待つだけです。
そして、ぶつかった力が他力となって、自力と組み合わされ、
その加速した力が相手に帰っていく、といった技です。
つまり相手の力を利用すると言うことです。
よく柔道で相手の力を利用するなどと言いますが、
本当に相手の力を利用できるのは、螺旋運動を身につけた者だけです。
それは剱の理念を知る者のみ許された神技です。
続く・・・