「素手の技」(4)
前号に続き、また実例をもうひとつ・・・
これも犯罪多発国家アメリカの出来事です。
ニューヨークの街頭に若い不審な女性がうろうろしています。
明らかに麻薬中毒の状態です。
警官が近寄って捕まえようとしますが、
簡単にその手を振りほどきます。
今度は、二人ががりで取り押さえようとしますが、
二人とも跳ね返されてしまいます。
いや、まったく物凄い力です。
これは適わないと、警官はもっと応援を頼み、
5〜6人で取り押さえにかかりますが、
女性の叫び声一声で、全員吹っ飛ばされています。
か細い女性に、大男達はまったく歯が立ちません。
最期にとうとう麻酔銃で眠らせて捕まえました。
なぜ、この女性は屈強な警察官を
いともかんたんに吹っ飛ばせたのでしょう?
その様子はニュース番組で
映像として私も観させていただきました。
これを分析しますと、こうです。
女性は麻薬による完全なる脱力状態で、
無駄な力がまったく入らない状態です。
つまり、自然に重心がおちて、
いわゆる腰が落ちている安定しているという状態なのです。
しかも捕まえられる時の叫び声により、
臍下丹田に火が着き、
それにともなって腰が猛烈な螺旋運動がおき、
中心軸が確立してしまったのです。
もう、こうなったらこの女性は無敵です。
つまり達人共通の「無心の体勢」が出来上がっていたのです。
女性は武道の心得はないにも関わらず、
武道の技そのものを知らずに使っていたのです。
その技は柔術の名人をも凌ぐものです。
この女性は理に適った動きを無意識の中で行ったのです。
我々は、この無意識の中で理に適った動きが出来るように
日夜稽古に励んでいるのですが、
これを何も技を知らない女性が行ってしまったのです。
それが逮捕のプロである警察官たち複数を吹き飛ばす
その次元を超えた強さの秘密とは何でしょう?
和良久の皆様はもうお分かりでしょう。
そうです、八力です。
もし、警察官の中でこの秘密を知っている者がいたら、
その女性と同じ技と呼吸をもって、まったく筋力を使わず、
まるで老人の手をひくように簡単に逮捕出来たはずです。
続く・・・