特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座407


「技が出来た・・・とは」(2)


八力の「凝」ひとつとってみても、
凝は受けにも打ちにも使え、
また下からの打ち上げにも、
上からの打ち下ろしにも対応出来ます。

そして最終、どんな打ちが来ても「凝」の形を崩すことなく
組むことが可能になります。

「ひとつの動きは、すべてに通じる」ことを
実証することが出来る、ということが
技が出来たと言えるものです。

そのためには、相手から様々な打ちを打ってもらい
訓練を積まねばなりません。

例えば、「ア」の剱を身につけようとしましょう。

そうすると、私達は当然のことながら
何回も何回も繰り返し「ア」を稽古します。

「ア」には「凝」と「解」の動きがあり、
これを反復するわけです。

つまりひとつのことを根気よく何度も繰り返す手法。

・・・しかし、さあ、これで果たして
上手になるのでしょうか?

相手が上から打ってきた時の凝の受け、
相手が下を打ってきた時の凝の受け、

また、右から、左から、正面から・・・

このように、受けというのは、凝そのもの形を変える事無く、
そして難なくこなせることが要求されます。

そのためには、凝そのものを繰り返しやることも大事ですが、
物事はバランスをもって、つまり右なら左を、上なら下を、
前なら後ろを・・・という具合に、対称するものをもって
ひとつのものを形づくることが大切です。

これを「対称の同時存在」と言います。

光は、影があってこそ認められる・・・が如しです。

この場合、凝の上下対称の「解」を行うことにより、
凝がその全容を現してきます。

また、凝の左右対称の「引」を行う、そして「解」の左右対称など、
はたまた、こういったヨコの剱に対し、タテの剱を行って
ヨコの特性を知る・・・等、対称するものをもって稽古をすると
本質が浮き彫りにされてきます。

具体的には、アの天地対称の剱である
「ヤ」の剱をやってみます。

また、次は「ア」の左右対称の剱である「ヂ」の剱を。
そして「キ」の剱を。

・・・という風に、ひとつの動きを
より完成度の高いものにもっていくためには、
ひとつのことを繰り返してやることも大事でしょうが、
75剱の様々な技を行うことによって、
ひとつの技が完成してゆくものと思います。


続く・・・