「足運び」
武道には、流派によって様々な足運びやら
立ち方の名称があります。
少し紹介させていただきますと・・・
足を肩幅に立っているのを「平行立ち」。
つま先をすこし外側に向けると「不動立ち」。
お相撲さんのような体を低くして立つ「四股立ち」。
前足を深く曲げて、後ろ足を伸ばす「前屈立ち」。
面白いところでは動物の名前がついているのもあります。
猫が今にも飛び掛ろうとする様を表す「猫足立ち」。
片足を上げて、もう片足の膝頭あたりに足の裏をつけて、
鶴が立っているようなかっこうを「鶴足立ち」。
馬にのっているような格好をした「騎馬立ち」。
また歩き方などにも、様々の名がついているようです。
最近流行り出した、「なんば歩き」と言う、
手と足を同時に出す歩き方。
足を流れるように出す「流水」。
相手に向かって、真っ直ぐ向かっていかず、左、または
右に身を捻ってから相手の懐に入る「三角入り身」。
以上のほかに、まだ面白い名の立ち方や歩き方が
あるようです。
さあ、和良久ではどうでしょう。
和良久は、腰の動きに従った自然な足の運びと、
手の動きを行いますので、特に静止状態を保つことはありません。
よって特に「立ち方」と言った、ストップモーションではなく
動き始めたら、最期の打ち、または受けが完了するまで
動き続けます。
その足運びは「歩むが如し」です。
決して大股ではなく、小刻みに足を運びます。
なぜなら、木剱が描く螺旋運動によって体が引っ張られ、
その流れに従って足が着いて行くからです。
高速の螺旋に着いて行くには、大股では着いていけません。
一足、一足が、木剱が螺旋を描くための「軸足」となります。
・・・以上のように、特に決まった「立ち方」と言うのは
ありませんが、ただ、これだけは覚えておいて下さい。
それは、腰の動きに合った足の向きです。
この「向き」と言うのは「爪先の方向」と思って下さい。
※ 以下の前、右、左と言うのは爪先の方向。
<前足> <後足>
■凝・解 〜 右足 前向き ・ 左足 右向き
■分・合 〜 右足 前向き ・ 右足 前向き
■動・静 〜 左足 前向き ・ 右足 前向き
■引・弛 〜 左足 前向き ・ 右足 左向き
要するに、ヨコの剱は後足が「横向きになり、
タテの剱は後足が前向きになると言うことです。
立ち方として、敢えて言うなら
「撞木の立ち方」をあげたいと思います。
「撞木」とは、お寺の鐘を着く木のことです。
例えば「右撞木の立ち方」と言えば、左足が横を向いて、
右足の踵が、左足の土踏まずの所に合わせたかっこうです。
丁度、左足がお寺の鐘、右足がその鐘を撞(つ)くような
形になるのでこの名称がついています。
これは回り込みなどの時に、自然とこういった立ち方を
していることに気がつくでしょう。
しかし、これも瞬間のことであって
ストップモーションではありません。
いづれにしてもすべては「歩むが如し」です。
続く・・・