「確実な腰の運用」
ここ数日、基本の洗い直しを行っています。
いま一度初心に帰って八力、八剱、そして
言霊の発声をじっくりやってみますと、
この度スタートした中の剱がとても生きてくるのです。
極意は基本の中にあり・・・これは当然のことですが
いまさらながらそれを実感いたしました。
「剛→柔→流」の三段階の流れを順を追っていくことが
不動の体勢を築くことになります。
まず「剛」、この稽古が、素手による八力の型です。
一つ一つの動きが、ガシンガシンと音を立てて
腰が堅固に入る感覚は、
言うに言われぬ満足感に満たされます。
そして、その一つ一つの決まった瞬間の体勢は、
前後、上下、左右のどこにも属さないし、
またどこにも属すると言う絶対中立の位置であり、
すなわち、これこそ鎮魂です。
八力は動的鎮魂と言っていいでしょう。
武道的表現を借りれば「絶対不敗の体勢」となります。
宗教的表現で言えば「吾即宇宙なり」といった
ところでしょうか。
とにかく「何をしても効く」という状態になります。
つまりすべての体勢が無意識に技となっており、
自分の中心から力を発し、またその力が相手の中心を
とらえているのです。
こうなれば日常生活そのものが武道の所作になります。
今日、亀岡の稽古にプロスポーツのトレーナーの方が
見学に来られました。
プロバスケットの森下氏が連れてこられたのです。
ゴルフの女子プロの方も見えられました。
もちろん、森下氏も、女子プロの方も和良久の稽古人です。
この両選手たち、和良久の身体操作法を
自らのトレーニングに取り入れ
徐々に成果を上げておられるとのこと。
トレーナー氏も、自身も稽古に入られて体験をされました。
稽古後トレーナー氏は、
「今日は本当に素晴らしい体験をさせていただきました。
我々のやっているトレーニングが、
和良久に比べ、かなり大雑把なものであることを実感しました。
いま私達のトレーナー仲間では、日本の武道の稽古法について
注目している方が多いんです。
是非、この稽古法を学び、参考にしたいと思います」
そうおっしゃっていただきました。
これでスポーツ界も変わればと願います。
日本武道は、内から外に向けて鍛え上げるもの。
対して、外国のスポーツは外から内に向けて鍛えていきます。
内なる力は、鍛えるのに時間と根気が必要ですが、
この力はいったんものにしたら衰えることがありません。
しかし、外から鍛えるものは、
短い時間でみるみる効果を上げ、
体格が変化して強靭になりますが、
常に鍛えないとすぐ逆戻りします。
外からの鍛錬は、へたをすると
内なる力に封をしてしまうことにもなります。
気をつけなければならないと思います。
長い眼でみるとどっちが本当の価値があるでしょう?
若い方には、上面の、見せ掛けだけの形を
追い求めるのではなく、
本質を追求していただきたいと願ってやみません。
稽古方法ですが、もちろん一人で行いますが、
相手がいればなおさら力の入れ方、
すなわち腰の入れ方が理解されるものと思います。
二人組んで、一人が八力の型を演ずる相手の、
ポイント、ポイントに負荷をかけていくのです。
肉体は抵抗を加えてこそ、
その反発する力によって強く、また速くなります。
詳しい稽古法については文でうまく表現できませんので、
稽古で実地にお伝えしたいと思います。
続く・・・