特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座422


「間(マ)」


例えば、剱を組み合う二人が、
道場の端と端にいるとします。

相手との距離が離れていて、
お互い技を仕掛けるには遠すぎます。

その時、両者は、徐々ににじり寄りながら
距離を縮めていきます。

お互いの技を最高の状態で発揮させる
「あるポイント」があります。

これが「間」です。

それは、距離で説明せよと言われれば、
言うに言われない、かなり微妙な
ミリ単位の空間であり、

時間で言えば、
これまた微妙な0コンマの世界だと思います。

相手との距離が、あと何センチだからとか、
何秒だからとか、と言う測定の出来ないものです。

これ以上距離を詰めたら双方が危ないといった、
一触即発の気が漂います。

全身を、まるでアンテナのようにして
神経を研ぎ澄ませ、無言の中で
相手の情報を読む作業をし「来るべき時」を待ちます。

相対した二人のどちらが先に動くのか?
それが、どこからどのような技で?

もう、眼で測ったり、耳で音をキャッチしたり、
手で触れてから行動を起こすような、
そんな形でとらえてアクションを起こすには
遅すぎます。

あとは超感覚の世界に身をゆだねます。

いわゆる気〜水火の分野の登場になるのです。

間とは、例えば相手と自分との間にある
空気のボールのようなものです。

これ以上、お互いが間を締める、
つまり距離を縮めるとお互いのあいだにある
ボールが押しつぶされて割れてしまいます。

さりとて、離れすぎたらボールは落ちます。

二人が近寄れば真中のボールは押さえられ
圧がかかってきます。

その膨縮圧がかかったボールの状態が
起こす反動力を使って、双方が技を仕掛けます。

このように間は活動力そのものであり、
他力の実在を如実に感じ取れる特異な空間創りです。

間には、下記のように様々なものがあります。
代表的なものを記します。


■「間をしめる」〜空間的には、距離を詰めることです。
時間的には、時間を凝縮させることです。

先ほどのボールの例えで言うなら、
ボールに圧力が加わった状態です。

■「間をはずす」〜空間的には、ひとまず
距離を置く事であり、また相手と相対することを止め、
相手とのつながりを絶つことです。

時間的には、時間の進行を中断することです。

■「間を取る」〜空間的には、相手の保持する
ベストな空間を、こちらの空間にしてしまうことです。

時間的には、相手の時間を取る、
つまり相手に余裕を無くさせることです。


続く・・・・