特定非営利活動法人 武道和良久

特定非営利活動法人 武道和良久

誌上講座 誌上講座

誌上講座51

75剱〜言霊剱 (8)

「螺旋する呼吸」

八力(八剱)は、螺旋運動によって命を吹き込まれます。

例えば、「凝」を打つとします。

凝の腰が決まったかっこうは、右手掌が上に向き、
左手掌が下に向いたかっこうです。

それで、吸う息で左上に上がっています。

しかし吸う息のみでは、半円で、片側通行なのです。


呼吸は「円」を描いて働いています。

この場合、吸う息で上がる「凝」は「吐く息」からスタートします。

まず最初に、降りる半円(吐く息)を描きます。
次にもう一つの上がる半円(吸う息)を描きます。

「吐く息→吸う息」となるのです。

この二息で「凝」を打ちます。

しかし、これでは力が不足しており動きが弱々しいのです。

吸うためには吐くのですが、この二息が、たんに円を描いている
だけでは、「打ち」としては弱いのです。

これにもっと勢いをつけるのが三拍子です。

つまり、より強くするためには、呼吸をもう一つ増やすのです。

つまり「三息」で勢いを増します。

吸う息→吐く息→吸う息・・・これで螺旋運動になります。

遠心力が働き、最後の吸う息の技「凝」が飛んでいます。

そして打つ瞬間には、同じ息を重ねます。

つまり 「吸う息→吐く息→吸う息・吸う息」 ということです。

でないと「吸う息→吐く息」と交互に続けていたら
動きがクルクルと回るばかりになってしまいます。

螺旋運動から直線運動への移行です。

打ち放った時は、力は強く一点に集中します。

それは「直線」という形をとって飛んで行きます。

技が意志をもって、螺旋運動による遠心力から発生した勢いで、
目標に向って解き放たれた瞬間です。

これとは反対に「解」という打ちですが
この打ちは、右手掌が上に向き、

左手掌が下に向いたかっこうで、
上から吐く息で左下に下りていきます。

もちろん、先と同じで、三息です。

今度は「吐いて、吸って、吐いて・吐いて」で打ちます。

呼吸(息・水火)は螺旋を描き、力を発生し万物を動かしています。

人も呼吸により動いています。

その呼吸力をもって活動する方法を勉強するのが武道です。

呼吸により木剱を螺旋させ、それにつれて体を動かします。

呼吸(気)→剱→体の順で動くのです。

よく武道で「気剱体の一致」などと言いますが、
まずこの呼吸と言うものの実体(螺旋)がわかっていないと、
この一致は、いつまでたっても覚り得るものではありません。

呼吸は、肉眼ではとらえられませんので、稽古では木剱を用います。

木剱は呼吸(水火)の具現化したものです。

水水火と書いて「ツルギ」と読むのもそういった意味から来ています。

顕なるものは、すべて剱より生ずるのです。

前にも申し上げましたが、剱は霊的なものを形象化させる
「エネルギー変換器」のようなものです。


続く・・・