稽古の順序とその意義(6)
8、水火の組稽古(二人)
これから剱を組む稽古に入ります。
ただし、ここで一つ注意をいたします。
決して「相手を打ち負かす」ために打つのではありません。
また、「打たれたから打ち返す」のではありません。
打つ役「火」が、受け役「水」に力を与えるということ。
そして与えられた力を何倍にも増幅させて、
その力を相手にお返しして、相手を元気にする・・・
そのための稽古であることを忘れてはなりません。
勝負の感覚をもって相対してはなりません。
相手を力づけ、向上させるために「剱を組む」のです。
さて、技の段取りをもう一度整理します。
以下のパターンの場合。
■例:火の役 〜「解」の打ち /水の役 〜「アの剱」
<順序>
1.最初 〜時を待つ(タイミングを計る)
火 「ウ」につける。
水 「ウ」につける。
2.間を締める(距離を縮める)
火 「引」で、左足を踏込む。
水 「弛」で、足は其のまま、右へ捻って力を溜める。
3.組む(陰陽合体〜火と水のスパーク)
火 「解」で相手に力を与える。
水 「凝」で組んで力をもらう。
4.溜める(力を凝縮させ、剱尖に力を集約させる)
火 「ウ」で剱を水平に落とす・・・地剱
水 「ス」で剱を直立に立てる・・・天剱
5.反射力を発生させる(ここから火水の優先順位が交代する)
水 「引」で捻り返す。
火 「弛」で捻り返す。
6.組む(力を最大限にもっていく)
水 「解」を打つ。
火 「凝」で受ける。
7.和合(二人が並ぶ)
火 「凝」で回り込んで、水の役の側と並ぶ。
水 「解」の体勢の持続。
8.最初の位置に戻る
火 「ウ」につける。
水 「ウ」につける。
組む稽古は、「ウ」に始まって「ウ」に終わります。
ここで学ぶことは以下のようなことです。
●時を待つ。
●処を得る。
●位を心得る。
●間断なき呼吸の流れを修得する。
●相手が動きやすいように誘導してあげる。
●直線運動から螺旋運動への移行。
●点と線をつなぎ、動きを平面体から立体へ形造る。
●技が徐々に加速することを体感する。
●力は消失するのではなく、無限に増幅することを学ぶ。
●宇宙の運行する様を再現する。
●惑星の自転、公転、または重力、引力を体験する。
●前後、上下、左右を融合させ「球体」と化す。
●集中と拡散、一瞬と永遠を知る。
●言霊に具体的力のあることを確認する。
●人と神がひとつであることを覚る。
●我が心身の雷撃電飛の如くなるを確認する。
続く・・・