「器を造る」
武道では、人身を改造する手段として、姿、形を正して良い霊魂が
入る「器」をつくることをいたします。
良い器には、良きものが入ります。
悪い器には、悪いものが入ります。
例えば形の整った、綺麗なグラスには、綺麗な水が注がれます。
形のゆがんだ、そして汚れたグラスには汚水が流し込まれます。
例えば神様から見ていただいて
「これは素敵なグラスだ。
この薫り高いワインをこの素晴らしいグラス入れて飲もう」
と言っていただけるような器になることです。
起居動作の改めは心をも変えます。
まっすぐな柱には、堅固な家が造られます。
歪んだ柱は、もろい家が造られます。
こう言うと、
「それじゃ、何らかの障害で体に歪みが生じた方はどうなる?」
とご指摘を受けるかも知れません。
いえ、和良久の言う姿勢の良し悪しは「重心の安定」と「軸の形成」
のことであり、決して見た目の格好のことを言っているのではありません。
確かに見た目の格好のよい方もお見受けしますが、
重心と軸の弱い方が大勢いらっしゃいます。
これではいけません。
これでは、まるでパッケージばかりにこだわって、
中身のない 「上げ底」の土産物のようです。
逆に見た目はちょっと良くないけど(失礼)、
しっかり中身の詰まった味の良い物もあります。
これを造るのです。
では「重心と軸」をどうして造るか?
和良久の稽古で一貫している動き。そうです。「螺旋」を起こすのです。
螺旋を起こすには、「軸」が必要です。
軸の形成は、まず下田(下腹)、中田(鳩尾)、上田(額)の
三田をまっすぐにつなぐことです。
そして、その軸を高速に回転させるには、
軸をしっかり支える 堅固な「重心」が必要です。
それは「八力」の運用を正確に成すことで誰でも容易に出来ます。
これによって得た姿勢を保持し、
この姿勢を普段の生活の中において不動の体勢とします。
この姿勢を取ることにより、その人の霊魂はそれ相応に改善され
また、場合によって入れ替わります。
威風堂々と、しかし謙虚に振舞えば、それだけで人生が変わります。
威厳があり、温かなぬくもりをもった、どっしりとした人には、
ある種近寄り難い雰囲気を兼ね備えています。
そういう人は周囲が放っておきません。
「あなたは、そんなところにいるような方ではない。
そんな汚れた椅子に座ってないで、
どうぞこちらの綺麗な椅子にお座り下さい」
そう言って、多くの人たちがその人を押し上げていくのです。
骨盤を意識し、三田を結ぶこと。
これが出来たら社会も随分変わるのではないかと思います。
続く・・・