「水と火のスパーク」
素手の八力の型について述べてまいりましたが、
腕と腕の間隔を離して行う方法と、
もう一つ「腕と腕をぶつけて」行う八力を紹介します。
ぶつけると言うと何か痛々しい感じがしますが、
何も思い切りぶつける訳ではありません。
しかし「接触」と言うと、フワッと言う軽い柔らかな感じがしますので、
これはまた適切ではありません。
痛くない程度に、左右の腕を組み合わせるのです。
その合わせる方法ですが、
まず左右の腕の広がりはいくら広くてもかまいません。
その手と手の間隔、と言いますか、空間の丁度真ん中に
「軸」をもって、それを中心に左右の腕が対称に回転し、
そして凝縮させるべくその両腕をぶつけ合わせるのです。
擬音的に表現すれば、
機械音的に「ガシン」といった音が出そうな感じです。
そして合わさって交差された両腕の形が「凝解分合動静引弛」の
「八力」のどれかに属した形になるのです。
左右の腕を合わせるということはどういうことかと申しますと、
右手は右腰であり、これは「水」です。
左手は左腰であり、これは「火」です。
左右の腰を回転させ、次に固定させるのです。
これにより腰をはじめ、全身は強化されます。
腰が締まり、同時に「腹」が練れます。
下腹が痛くなります(もちろん無害です)
水と火・・・つまり陰と陽、プラスとマイナスを組み合わせて
スパークさせる訳ですが、まさに「火花が散る」という勢いを感じます。
両手を離してボールを挟んだフワッとした、素手の動きに比べ、
両手をぶつけ合うこの稽古はかなり豪快な稽古です。
剛・柔・流の三元については以前にも述べましたが、
これは剛そのものの稽古です。
建築に例えれば、基礎工事の段階であり、また鉄骨を基礎の
中に打ち込み、組み合わせて骨組みを作るようなものです。
続く・・・