特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座24

気合

人は息を発することにより、その息の強弱、及び
リズムに乗って行動します。

武道に「気合」といわれるものがあります。

気合は、この息の強弱、リズムの特性を充分にいかす術です。

一般に使われている気合は、例えばピストルでいえば
爆発音のようなものです。

「バーン!」という発射音で弾丸が飛び出します。

技を発するにおいては「エイッ!」という音声で
突きなどが飛び出します。

その時は、瞬間ですが驚くべき力を生み出します。

車で言えばターボエンジンのようなものです。

その爆発音的発声により、体内に麻薬にも似た分泌物が発生し
体内をめぐります。

それは恐怖を克服し、痛みを感じる神経を麻痺させ
体と心は一瞬鉄の用に堅固になります。

喧嘩になったり、夢中になったりした時思わず大声を出すのも
この作用からです。

動物が吼えたり、ヤクザが大声を出す・・・
そういった他を威嚇する行為も、気合の原理のひとつでしょう。

我が国でいう「気」は息であり、呼吸です。
(イキはまた「水火」と書きます)

それは文字通り自分と相手、そして自分と自分の
「呼吸(気)を合わせる」ことです。

しかし、眞に呼吸を合わせるとき、そこには声は無く、
ただ静寂があります。

高いレベルの気合です。

気合を出す初歩の訓練にさっきも紹介しました「声を出す」
という訓練がなされますが、これは反作用をもって、
本来を知るための方便であります。

ですので本来「気合を入れる」とは、
決して大声を出すことではないのです。

ちょっと深入りして説明します。

すべての日本語には「アオウエイ」の5声が含まれています。
(五大父音といいます)

この父音のどれが含まれているかで、魂の宿り方が異なります。

そして日本には一霊四魂(いちれいしこん)の思想があります。

また声には力の作用があると言われています。
(前後・上下・左右)

以下は、以前にも説明させていただいてますが、再度記します。

●一霊 〜 直霊「ウ」(省)・・・前後

●四魂 〜 幸魂「ア」(愛)・・・左右
         和魂「オ」(親)・・・上下
         荒魂「エ」(雄)・・・上下
         奇魂「イ」(智)・・・左右

このように、どの音声を用いるかで宿る霊魂の増減があるとされます。

裂ぱくの気合もろともに・・・の先にある、闘争を超えた気合を
顕現させたのが、近年では合気道創始者の植芝盛平師
また親英体道創始者の井上鑑昭師かも知れません。

両師ともに大本の教えに帰依し、大本教主に仕え
そしてその教えをまもった鍛錬の結果開眼し、
神の守護を受けて武道を創始した大本の先輩武道家です。

師らは息の流れの実在を具現化することを生涯の道とされました。

競技化されたものの中によく「声を出せ!」とか
「気合入れて行こう!」などと言いますが、万物の真正に迫るとき、
自ずと単に表面を叩くような音声を発せず、深く静かに浸入するような
体制になります。

つまり静寂の気合です。

神道には「幽斎は霊をもって、顕斎は体をもって」と言われます。
武の技も顕斎から幽斎へ入っていきます。

その技の変遷は、「動から静」への移行であると存じます。

技が向上しますと・・・螺旋で言えば大きい円周から渦巻いて、
徐々に中心点に帰るように、 わずかな動きが・・・いえそこまでくれば
動くことなく技を使い出します。(「剛→柔→流」の変遷)

理想として、どたばたと足音を立てず、 奇声を発せず、
流れるような動きでお互い 稽古出来るようになればと思います。

こうなればもう天国の武道です。

そこには競争意識も無く、ただ相手との、また自分との
技の流れの中にあることを楽しむ爽快感があるだけです。


続く・・・