続 〜 「礼」
<神への礼法>
礼はまた霊であり、霊(心)をもって相対さないと礼でなくなる。
稽古では、まず正座し黙想して気を静める。
そして「神前に礼」の声をもって伏せる。
このとき背筋をしっかり伸ばし、床と体が平行になるようにして伏せ、
両腕は横に真っ直ぐ広げて肘を床につけ、掌は上に向けて、
右手を上側に重ねる。
これが神に対する礼の作法である。
祈願祝詞の最後の部分にある・・・
「鹿児自物膝折伏せ 宇自物頸根突抜きて、
恐こみ恐こみも祈願奉らくと白す」
(かごじものひざおりふせ、うじものうなねつきぬきて、
かしこみかしこみも こいのみまつらくとまおす)
というのが、先に説明したかっこうである。
つまり「鹿が膝を折って伏せ、首を地にすりつけるような低いかっこうで、
恐れ恐れしながらお願い事を申し上げます」
と言った意味である。
何事を行うにもまずは神様に祈りを捧げ、許しを得てから行うことが、
道を行ずる者の大事な心構えである。
道は、すなわち神である。
<人への礼法>
「重」の礼 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この礼は最も深くて丁寧な礼の仕方である。
姿勢は先ほどと同じく、背筋を伸ばし顎を引いた体勢で床に伏せる。
しかし人への礼は、伏せた時、肘の位置が膝の前ほどで、
肘の幅は肩幅、上腕を三角形にして両指先が着く。
伏せた時、体が床と平行。
手が額の位置になり、掌を下に伏せて着ける。
「中」の礼 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
よく使われる礼。
姿勢は真っ直ぐのまま、体を床と平行に伏せず、45度に倒す。
腕はつけず、掌のみしっかり着ける。
「軽」の礼 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
俗に言う、「三つ指を着いて」のかっこうである。
最も軽い礼である。
しっかり背筋を伸ばし、礼の時、腰から曲げ、両手が膝頭の前を滑り
指先が床に着く。
・・・・以上は正座からの礼法であるが、「立礼」も ほぼ同様である。
やはり顎を引き背筋を伸ばし腰から曲げること。
続く・・・