特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座445


「空気を傷つけないよう」


誌上に書きたいこと、皆様にお伝えしたいことは
どうしようかと思うほど沢山あります。

しかし、稽古をされている方にも
様々の思いをもって和良久に来られている方が
あろうと思いますので、
言葉を選んで発信をせねば
非常な誤解を受けることは必定であろうと存じます。

ですので、思い切った発言は、
まだ少し謹んでおかなければと思います。

もしかしたら、そういったことは、
いつか稽古鍛錬によって、
皆様と(あるいは何人かと)共有する部分が
芽生えた時には、言葉で伝えずとも、
以心伝心的に伝わっていく事柄なのかも知れません。
そんな気がします。

志を、同じくする者同士ですから、
それはかなり早いうちにくるでしょう。

例えば、事前の打ち合わせも、話し合いもないのに、
自然に群れをなして泳ぐ
魚のようなものなのかも知れません。

魚群は、何百匹という集まりなのに、
それはあたかも一匹の大魚のように右へ左へと、
ぴたっと息を合わせて泳ぎます。

何と不思議なことではないでしょうか。

誰に教えられるでもなく、ひとつの意思に従って
無数の者たちが一斉に活動を開始する・・・。

いま、我々にもそんな時期にきています。

一神即多神、多神即一神・・・これが、
わが国の神界のシステムであり秩序であります。

このシステムこそ「うしとらのこんじん」と唱える
ものであります。

中心の軸にまします天之御中主大神の吐く水火によって、
外に向かう力が沸き起こり、
それが唸りを立てて旋回を起こし、
遠心力を発生させます。

その力は、八方方向の守護神
(鬼門八神〜かむどやはしらがみ)に
分担されてさらに力を増強され、
幾百千と裂き分かれて(八百万〜やほよろずの神々)
活動をなします。

これが「うしとらのこんじん」のお働きと申し上げます。

そして、八方無限に活動をなした神々は、
中心軸にまします天之御中主大神の吸う水火によって、
求心力を発生させ、今度は、やはり同じ道筋を通って
中心軸に帰一いたします。

この内外の旋回から生まれる膨縮圧によって、
ものを産み出す力を「はるち、うむち、つづち」と言い、
これ、即ち、うしとらのこんじんの活動力と称える言葉です。

さて、この世に生を受けて、同じ世界に生きていても、
その環境が違うと、人により五感に差異が生じるのは
致し方のないことだと思います。

魂が高いの低いの、というのではなく、
住む世界が異なりますと、そのものの見方、
聞こえ方、感触、香りにまで、
まったく異質なものとしてとらえます。

例えば、魚は水の中でものを見ます、
鳥は空の上から物を見ます。
小さな虫は、超ミクロな眼で物を見ます。

そこで、同じ物体を見たとき、
それぞれの環境で見た物体は
まったく異質なものとして見えます。

私たちの周りでは、物の見方が違う、価値観が違う・・・
と言うことがよく言われます。

つまり、同じ世界に生きていても、
時間と空間のとらえ方がまったく違うのです。

確かにそう思います。

75劒を稽古していますと、
様々な角度からもののとらえ方が
出来るようになります。それもかなり立体的にです。

特に、空気が摩擦によって熱を生じたり、
また空気の圧力や流れを肌で感じることが出来ます。

空気中で熱を感じたり、光を見たり、濁ったり・・・・
空気は、水と同じ感触なんだなあって実感いたします。

和良久を行じていますと、空気を傷つけないように
劒を扱わねばならないと切に思います。

いま、世界は空気が非常に傷ついています。

そこに破れ傷があり、裂傷があり、血がにじみ出て、
あるいは膿み、薄汚く変色しています。
まことに痛々しい限りです。

そこには、やがてばい菌が入り込み、
破傷風などの大変な病に発展します。

それが邪気となり、邪気は凝って姿をもって現れ、
悪意ある生き物に取り憑き、世界の人を苦しめるのです。

空気が傷つく?・・・何を馬鹿なと思われるでしょうが、
空気は眼には見えませんが、見えないほど繊細であり、
だからこそ最も傷つきやすいものではないかと思います。

和良久の稽古で大事なのは、具体的には空気を傷つけず、
空気を活かす術を身に着けることではないかと思います。

魚は水の中でこそハツラツとして生きていけます。

手足のない魚は、水という抵抗ある空間においてこそ、
自由を得ることが出来るのです。

我々人間は、逆に抵抗ある水の中では
不自由極まりありません。

空気という普通に動くことにおいては、
比較的抵抗の少ない中だからこそ生きていけるのです。

当たり前ですが、呼吸も、音も、力もすべて
空気中で行われる作業です。

声も空気があってこそ発することが出来、
また受け取ることが出来ます。

きっと空気を伝って、感情も、意思も、
また未来も過去も行き来しているのでしょう。

ですから、その空気に気持ちを向けて
稽古する繊細が大切なのではないでしょうか。

そういう意味で、言霊がこの世を支配していると
言われるのは、とてもよく理解できます。

言霊の活用の良し悪しが、
いままでの世界を創ったのであり、
また今後の世界をも創造していくのでしょう。

さて、言霊では、
各音を以下のように分類しています。

アオウエイ 〜 空中水霊
カコクケキ 〜 暉火霊
サソスセシ 〜 曻水霊

タトツテチ  〜 水中火霊
ナノヌネニ 〜 火水霊
ハホフヘヒ 〜 正火霊

マモムメミ  〜火中水霊
ヤヨユエイ  〜火水霊
ラロルレリ  〜濁水霊
ワ井ウエオ 〜水火霊


以上の中で、五大父音と言われる
「アオウエイ」の音声は
「空中水」の霊である・・・と言います。

これから見ても、先に申し上げたことを
察していただければと思います。

空気中に螺旋波動を発生させることが「和の心」を築く
具体的方法の一つではないかと思います。

少なくとも、私たちは他に不快感を与える
鋭角波動を発することのないよう、
十分気をつけたいものです。


続く・・・