蹴り〜その(2)〜
「相手を足蹴(あしげ)にする」
「ライバルを蹴落(けお)とす」
・・・など、蹴りというのは、あまり良いたとえに使われない。
例えば、足でドアを開けたり、足で物を動かしたりするなど、
手でやるべき所作を足で行うのは行儀よろしくない。
先に言ったように、足で人をあしらうのは相手に対し、
見下した所作として受け取られ、
大いに相手のプライドを傷つけることになる。
蹴りという強烈な技は、それを使うのにも躊躇があってはならない。
思い切り良く相手の体に向けて、壊さんばかりに蹴りこむのである。
それは、まともな神経ではこれを使いこなせない。
このような、一歩間違えば、大怪我をひきおこす、
そんな危険な技を平気で教える格闘家たちの神経にはあきれる。
しかし、こちらがどうであれ、それを使って相手は襲ってくるケースも
多々あることは免れない。
ある程度、それら破壊の技に対処する法も心得ておかねばならい。
その技の特長などについて、元「蹴り」の専門家として
述べておきたいと思う。
しかし、いくら蹴りは猛烈だからといって、怖がる必要は無い。
同じ人間がやること。
同じ腰というエンジンの持ち主として出る「元」は同じである。
その元を、いかに捉えることが出来るかで、
いかなる攻撃も無力化させることが出来る。これは後に述べる。
蹴りの種類と出し方は、手の技とほぼ同じである。
例えば、手のパンチで言う「フック」は「回し蹴り」。
手の「アッパー」は「膝蹴り」。
手の「ストレート」は「前蹴り」。
また、特殊な使い方として、「横蹴り、後ろ蹴り、後ろ回し蹴り」などがあり、これは手で言うと拳を握り締めた小指側の下の部分で、
通称「鉄槌(てっつい)」または「拳槌(けんづい)」と言われる。
この「鉄槌」は、打つ時に腕をスイングさせて打つ。
横蹴りなども足の側面で打つので、これとよく似ている。
蹴りは次のような時に出す。
まず、相手が手で届かない距離にある場合、
または手で攻めても受けられるか、
または手がふさがっている場合。
意表をつく場合。
意識的に相手を容赦なく倒す意図がある場合・・・などである。
続く・・・