3.神武の復活
1960年のある日、武道を軸に人間づくりの理念と実践の両面を究明していた奥山忠男先生は、あの巌流島の決闘で死去した佐々木小次郎から奪い取ったという、ビワ製の木剱を手にしました。
その木剱は通常の木刀とまったく形が異なり、不思議な形をしていました。 奥山先生は、早速その木剱の使い方を模索する作業に取り掛かられました。
古武道、古武術関係の技や文献をはじめ、大本の教典や古文書を紐解く内に徐々にその姿があぶり出されてきました。 そしてそこに見たものは、宇宙創造にまで遡る根元なる力の存在だったのです。
小次郎の剱は「つばめ反し」と称され、無敵の剣として恐れられました。 しかし実際に小次郎の技を再現し、稽古を進めていくと、それは決して人殺しの剣などではなく、人を活かし、神に近づくための「鎮魂の神術」であったことが分かりました。
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